陸奥ジャジー・ジャズ


 すでに閉店してしまったのかもしれない、その消息を確認せぬままに書く陸奥のジャズ喫茶のこと。
 ZENが訪問したジャズ喫茶を以下にリストアップします。

 青森市  ジャズタイムDisk・new DISK・WES・BIRDLAND
 弘前市  JAZZ INN 仁夢・SUGA・Jazzroom UNION
 盛岡市  伴天連茶屋・チェック・DANTE
 一関市  ベイシー
 仙台市  アバン・JAZZ&N0W・カウント・パラドックス
 秋田市  もなみ・ジャズスポット ロンド・JAZZ INNTIME
 山形市  オクテット・ふらんせ
 福島市  ジャズ喫茶MINGUS・ジャズルーム涅雅
 いわき市 RELAXIN' AT DADDY・エスカイヤー・フィレンツェ
 郡山市  JAZZ HOBBY・ジュノ・セ・ママ

 以前勤務していた会社の東北出張で、仕事をさぼってジャズ喫茶に入り浸っていたのは80年代半ばの2年間。
 隔月の出張をあれこれ理由をつけて毎月にしてもらい、あちこち回った。雪の夜に歓楽街で足が滑って車に轢かれそうになったことがある。帰りの金が足りなくなって盛岡でサラ金に手を出したこともあった。
 ジャズ・ギターの音色がここに極まる青森ウエス。弘前SUGAで東京弁を話して菅原さんから叱責された。盛岡DANTEの了さんのジャズと農本主義に対する造詣の奥深さ。仙台JAZZ&NOWの北欧的前衛さ。雪の飲み屋街秋田もなみで聴くルイス・ヴァン・ダイク。山形オクテットのいつもそこだけ快晴のようなヤクルト付きモーニングの相沢さんの笑顔。西海岸を錯覚させるいわきのRELAXIN’AT DADDY。吉増剛造の詩朗読を聞いた郡山の駅から遠いジュノ・セ・ママ。

 陸奥のしんしんと降り積もる雪の夜に聞くピアノ、あるいは厳しい寒風から逃れた空間に鳴るトランペットは、南国では(もちろん東京でも)決して体験できない異次元の世界である。ライブの拍手がここではペチカの焚き木の燃える音になる。

 ZENの一番の思い出は、山形大沼ホテルでのジョニー・グリフィンのジャズ・コンサートだ。会場には秋田もなみの鈴木さんがひっそりと最後列で立っていたのが懐かしく思い出される。オクテットの相沢さんのご厚意に甘えてジョニーグリフィンの斜め前の部屋で泊まった。
 コンサートを終えたグリフィンに廊下で出会い、『グッ・ナイト』と一言だけ交わした。心地良い疲労感のなか、力なく笑いながら部屋のキーを回して中に消えた全力演奏リトルダイナマイトのサキソフォー二ストに乾杯!!

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