独身OLのABC


 ZENは喫茶店などで独身OLの雑談を不可避的に聞く機会が多い。そこで取り交わされる、主に異性の選別に関する共通の話題は大きく3つに分けられます。それを勝手に『ABC三大話』と名付けています。

 Aは AGE(年齢)です。わが国では”年齢”を中心にした価値観が老若男女に変わりなく浸透しています。
 例えば、『あの人は40代なのにまだ独身で、気持ち悪い』とか『30までには結婚をしなければ』とか『20代のくせに会社社長よ』といった切り方ですね。わが国では、年齢によって、言動や行為がいかに支配されているかは、外国人と交際すればすぐにわかることです。ところで、自分とあまり年齢が離れていると価値観が違うから、つきあいにくいとか言いますが、年齢というメタファーに隠された本能的記号は、肉体、もっと露骨にいえば、子孫繁殖力=性的能力です。

 Bは、BLOOD TYPE(血液型)です。異性の性格や個性などを簡明に理解するうえで欠かせないツールです。
 六星占術の普及に細木数子さんは貢献していますが、たったの4タイプしかない血液型の簡潔さというのは(私は血液型を全く信じませんが)便利なのでしょう。より良い種を選別する権利と責任を引き受ける女性にとっては、常に判断基準が必要であり、その受け皿として血液型以上のものはないのではないでしょうか。

 Cは、COMPETENCE(生活財力)です。日本における未婚率の増加は、雇用の合理化や年功序列制度の崩壊にともなう独身男性の経済ブランド力の低下が主因とする説が有力です。Bが形而上的判断基準とするならば、Cは形而下的クリティカル・ポイントです。『自分に合う相手が見つからない』というタテマエの裏には、『経済的に安定した、豊かな結婚生活を営める相手がいない』というホンネが見えます。



以上はあくまで同性同士で茶飲みする際のしゃべりのネタの一分野の内容を整理しただけですし、(女性の好奇心の旺盛さと話題の分野の広汎さに関して、それを総括することなどできません)また勿論、学歴や職種(勤務する会社のステータスなど)、家柄、趣味などについてもABCに優るとも劣らぬ割合を占めることもあるかと思います。が、それらは大きくABCに包括されるのではないでしょうか。なぜなら、Aは身体、Bは性格、Cは経済という、結婚を考える際の重大要素を含んでいるからです。

BACK