詩人 梅田智江さんを尋ねて


 金子光晴の直系弟子 放浪詩人 梅田智江さんが入院するホスピスを尋ねました。
 ミュージシャンのAKIRAとその取巻き(私もその一人)10人ほどで、病院内の遊戯室を借りて、AKIRAのミニコンサートを開いた。
 不治の病の人間も祈りによって、病状が回復するという科学的データが出ていることをAKIRAは話してくれましたが、これは私も以前読んだ本「癌が消えた」(キャロル・ハーシュ
バグ/マーク・バリシュ)の中で知っていました。AKIRAはすでに5人に対して祈りのライブをしている。一人は胃癌の人で、手術で開腹したら胃癌が消えていて医者が驚いたそうだ。

 その人は術後、大学に入り直して新しい人生を始めているそうです。
 病者への祈りは、
1、距離に関係ない(どこから患者に祈っても通じる)。
2、関係の深い人(身内、親友など)の祈りほど効果がある。
3、人数が多いほど良い。
 そうです。
 今日は車椅子で病室から出た梅田さんを迎えて、本人の目の前で、皆が祈りました。幸い、腹水も強い痛みも収まっていました。今日、行って何か役に立てたかなと思いました。

 梅田さんには「変容記」という縄文的スケールの詩集がある。この詩集は素晴らしいのですが、多くの詩人も評価しているんですが、しかし、日本人離れしているのか日本の詩壇の間尺には合わなかった。
 僕は今日、詩人の阿賀猥さんに再会した。変人ですが、年老いていまだに美しい人だ。若い頃はものすごくもてたんだろう、しかも東大出だし、世の中には不思議な人がいる。
 同じく詩人の福間健二さん(映画監督でもある。今秋「岡山の娘」を上映予定)は、梅田さんは存在自体が詩人だと語った。梅田さんの影響をみな受けているとわかった。沖縄に梅田さんが一時期住んでいたときに知り合った人も来ていた。

 AKIRAは世界を放浪して日本に戻ってきて、梅田さんの「変容記」に出会って衝撃を受けて、それから詩を書き始め、今ではシンガーソングライターになっている。
 北千住の本町通リでバーをやっている島川さんに会えたのは良かった。彼はモンゴルのホーミーが歌える。AKIRAの祈りの歌の間奏のとき、見事に美しい高音を室内に響かせた。

 何ていうんだろう、人間はいずれはみんなこの世からおさらばしていくけど、生きている間に出会う人たち一人一人の生きざまを見ることがきっと何かの学びになっているのではないか。AKIRAの歌の途中で、梅ちゃんの娘ルイさんはお母さんにすがって泣いた。イケメンの男の子が記念写真を撮るというと、椅子に凭れていた梅ちゃんは急に身を乗り出した。女光晴の片鱗を見た。

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